土曜ワイド劇場の明智小五郎
その2・北大路欣也

[最終更新日:2000/08/07]

 天知茂のクモ膜下出血による急逝で25作で一旦幕を閉じた土曜ワイド劇場「江戸川乱歩の美女シリーズ」。土ワイの看板シリーズの一つでもあったため、主役の死去というだけの理由で終わらすには惜しいものでした。しかし、初代明智小五郎・天知茂のイメージが強すぎたためか、なかなか後任が決まらないまま、1年が過ぎたのです。

 そして1年後、北大路欣也を主役に迎えて、土ワイの明智小五郎が帰ってきました。パソコンを駆使し、スキューバダイビングをやり、バードウォッチングを趣味としている、ニュー明智小五郎となって。後のシリーズでは、マーラーを聴き、シェイクスピアを暗誦するなど、天知茂ではそれほど強調しなかった、教養を秘めた性格を出していきました。

 天知茂未亡人・臼井純代は、その第1作『妖しいメロディの美女』を見て、「大変面白かったです」と感想を漏らしています。「北大路さんは2代目の明智役に決まった時、主人の仏壇の前で手を合わせてくれて。それを見て、ああ、これで主人もバトンを渡せたな、と…」。そう言って、あふれる涙を拭いたといいます(当時のテレビ雑誌より)。また、北大路欣也がこのシリーズで付けていたネクタイピンは、天知茂の遺品である、ということも何かで見た覚えがあります。これらのエピソードからしても、北大路欣也は天知茂の正当な後継者としての明智小五郎を演じたといえるのではないでしょう。

 しかし、天知茂のイメージがあまりに強かったためか、それともイメージチェンジを計った部分はあったものの基本ラインはそのまま引き継いだためか、イマイチ北大路=明智というイメージは定着しません。私はけっこう好きだったのですが、明智はやはり天知茂がいいと思う人が多かったのかもしれません。そのせいかどうか、『神戸六甲まぼろしの美女』のような異色作を作ったりしました。反動が出たのか、その次には正統派の『妖しい稲妻の美女』を製作していますが。この『妖しい稲妻の美女』で、天知→北大路まで連続していたためか同じ原作は使用していなかったのに、天知茂主演第2作『浴室の美女』でドラマ化している「魔術師」を原作に据えた再ドラマ化をしています。以降の土ワイでは、最新作の稲垣吾郎に至るまで、すでにドラマ化されていた原作を使っています。

 話を北大路欣也に戻すと、せっかく北大路=明智の個性がこれから花開こうとしていたのにも関わらず『妖しい稲妻の美女』を最後に降板してしまったのです。それから2年と3ヶ月の空白期間を経て、再登場した美女シリーズには、3代目として西郷輝彦が前2者のスタイルと似ながらも設定を大きく違えて「からくり人形の美女」を主演したのでした。

土曜ワイド劇場の明智小五郎 その3・西郷輝彦