ゲイの真の姿を垣間見る
伏見憲明『プライペート・ゲイ・ライフ』(学陽書房/1500円)
ルノー・カミュ『トリックス』(福武書店/2200円)
1991.11.27 未採用原稿
最近また、あの“エイズ”が話題になりました。海外の著名なスポーツ選手やアーティストが自らエイズに感染していることを告白し、しかもロック・ミュージシャン氏(洋楽にうといので仮名とします)は、告白した翌日に死去。更なる波紋を呼ぴました。エイズが発見されてから、早や十年。今、我が日本国内でも徐々にその毒牙は浸透しようとしています。
そんな中、主に女性層を中心に“美少年”“少年愛”といったものが「キャプテン翼」「聖矢」などの“やおい漫画同人誌”として広まり、「JUNE」といった商業誌の成功と相絡まって世間一般に浸透していきます。そして時代は平成の世に移り、今度はゲイである人達が、自分はゲイだと公言し、種々の面で活躍するようになってきたのです。既にアメリカのある州ではゲイのカップルが実際に結婚したそうですし、後は周囲の偏見が取れるにしたがって異常ではなくなる日が来るのかもしれません。
シンガーソングライターの伏見憲明氏が発表したこの本も、その一環として出たものとみてよいでしょう。実際にゲイである伏見氏が、Q&Aやエッセイを通して自らの“ゲイ観”が表れていて、なかなか興味深い。更に冒頭に「〈ヘンタイ〉宣言」なるものが掲げられていて、かつての「少年派宣言」を思い出させてくれて笑えます。また、内容も多岐にわたっているので、JUNESTなら一度は目を通してみるのがよいと思います。
対して『トリックス』(山岡捷利訳)は、フランスの作家ルノー・カミュが♂♂の行きずりの出会いと別れを断章で織った作品で、伏見氏のとは別の意味で面白い本です。表題の“トリック”とはナンパ、同性愛の相手をひっかけることを意味します。手っとり早く云えぱ、ロスのいたる処で行われる四十六の“トリック”を断片的に書いただけの作品です。ですが、それだけに真実なのです。ぜひ一度読んで見て下さい。
(東京都/お~いしいよ♥)
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